ボアアップすると熱量が増えるため、オイルを効率的(より多く)に循環させられるようにしておきたいと思います。
ボアアップと一緒にやってもよいと思いますが、「変化」を確認しておきたいのでボアアップ前に実施します。
エイプ用のオイルポンプは、いくつかのメーカーから販売されていますが、検討した結果、「武川製」を選択しました。
デイトナ製:吐出量2.8倍
武川製:吐出量2.06倍
エイプ100純正:吐出量1.6倍?
※エイプ50純正比較値
カスタムの目標は、ボアアップ+ハイカム+シリンダーヘッド交換なので、デイトナだとと吐出量が多すぎると思われる、また、ハイカムを装着しており、最高回転数を12000rpmにしているのでエイプ100純正よりもう少し吐出量のある武川製にしました。
また、上記仕様の場合、キタコのページでオイルポンプ交換は必須となっているので、ボアアップの状態から対応しておきます。
パーツ準備
- オイルポンプ武川製 ※ドリル付き リンク
- クランクケース側ガスケット リンク
- トルクレンチ リンク
- ソケットレンチ
- ラチェットレンチ
- ドライバー
- エンジンオイル ※ボアアップ前なのでG2にしています リンク
- タップハンドル ※オイルライン拡張用のドリルを手動で回すために使用。 リンク
- ゴムハンマー
- スクレーパー リンク
- オイルストーン リンク
- ペーパーウエス
- パーツクリーナー(多めに)
事前準備
1.オイル排出
クランクケース内をオイルが循環しているので、先に排出しておきます。
2.右側ステップ取り外し
作業し難くなるため外しておきます。
一番上の赤丸の箇所は、外さなくても問題ないかと思いますが、ステップがブラブラするので外しました。外す場合は、割ピンでとめられているため予備を用意しておくか、丁寧にとるようにしましょう。
3.キックペダル取り外し
クランクケースを外すためにキックペダルを外しておきます。
赤丸のボルトを緩めるとグラグラしてくるので手前に引き抜くように外します。
クランクケース取り外し
1.クランクケースのボルトを外してしきます。
ボルトは9本あり、長さもバラバラなのでどこから外したかを覚えておきましょう。
2.クランクケース取り外し
ゴムハンマーで軽く衝撃を与えて外れやすくします。
ただ、いちども開けたことがない場合、多分ゴムハンマーのトントンくらいではびくともしません…
私のエイプもそうでした。
※ここが最初の難所でした。
ゴムハンマーで叩いたあと、手で引っ張ってみましたが、全く外れる様子なし…
ここは、テコの原理で外していきます。
※クランクケースにマイナスドライバーなどを無理やり入れて外そうとするとオイル漏れの原因になるのでやめたほうが良いと思われます。
テコをかける場所は以下です。
赤丸の裏側を手前に押し出すようにしてテコをかけます。長いマイナスドライバーがあったので、先端に布を巻き、フレームを支点にして押し出しました。
向かって右側が外れたら、左側も外していきます。少しでも右側が外れていれば、左側はオイルのフィラーキャップを外して、指を入れて手前にひけば外れるかと思います。
クランクケースガスケット取り外し
スクレーパーを使ってクランクケースに傷がつかないように剥がしていきます。
また、ガスケットが残っているとオイル漏れがしやすくなるので取り残しがないようにきれいにはがします。※ここが一番時間がかかると思いますが、丁寧に、慎重にやりましょう。
1.クランクケース側
クランクケース側に残っている緑色のガスケットを剥がしていきます。
ガスケットを剥がしていくと、赤丸のカ所にストレーナーが装着されているため、取り外してパーツクリーナーでキレイにしておきます。
2。クランクカバー側
次にクランクカバー側のガスケットも剥がしていきます。
3.オイルストーンを使って表面をなめらかにします。
オイルストーンにエンジンオイルを塗り、ガスケットがついていた部分を滑らかにしていきます。
純正オイルポンプ取り外し
純正オイルポンプの位置は赤丸の箇所です。
1.赤丸のボルトを4本を取り外します。
カバーにボルトが隠れている場合は、ギアを回して穴にあわせてから外します。
取り外すと裏側はOリングが2つ付いています。(オイルポンプ側に張り付いてました)
新品に交換してもよいかと思いますが、破れなどがなかったのでそのまま再利用しました。
クランク側は以下のようになっています。
純正と武川製のオイルポンプを比べてみます。
見た目違いが判りませんが、多くのエンジンオイルを送ってくれるのでしょう。
オイルライン拡張
ここが一番の山場かと思います。
赤丸のオイルラインを付属のドリルで拡張していきます。
最初にクランクケース内に削りカスが入らないように可能な限り、ペーパーウエスなどで養生していきます。
※気を付けててもクランクケース内の削りカスが入ってしまうので、あとで入念にパーツクリーナーで除去します。
付属のドリルをタップハンドルにセットし、右に回しでオイルラインの穴を拡張していきます。
※穴に対して垂直にドリルを当て(穴が斜めにならないよう)、穴を広げるイメージでに慎重に拡張します。
武川の説明書にも記載がありますが、シリンダー側まで貫通してしまうとエンジンが使えなくなってしまうので、気をつけて拡張します。
感覚的には、穴を拡張していくと回していたタップハンドルが軽くなるので、その時点で完了です。
それより先は、シリンダーの壁なので絶対に穴を開けないようにします。
3.クランクケース内の掃除
オイルライン拡張により削りカスがクランクケース内に残っていないように、パーツクリーナーでキレイに洗い流します。
武川製オイルポンプ取り付け
説明書に従って取り付けていきます。
1.Oリング取り付け
Oリングにエンジンオイルを湿布して、クランクケースの赤丸の箇所に張り付けます。
2.オイルポンプ取り付け
組み立てたオイルポンプドライブギアを手で回し、軽く回転するか確認します。
問題なければオイルポンプの回転する箇所(オイルポンプシャフト、オイルポンプドライブギア付近)にもエンジンオイルを湿布しておきます。
エイプ50は、付属のフラットボルトを使って取り付けます。※赤丸のフラットボルト
クランクケース取り付け
クランクケースを取り付けていきます。
1.ストレーナーを元に戻します。
パーツクリーナーでキレイにしたストレーナーを元の場所にはめ込みます。
2.矢印の箇所にノックピンをはめ込み、ガスケットを取り付けます。
3.クランクケース取り付け
クランクケースを取り付け、ボルトで固定していきます。
※ボルトの長さが違うので気を付けてください。
事後作業
1.キックペダル取り付け
取り外しの逆の要領で取り付けます。
2.エンジンオイル注入
エンジンオイルの吐出量が増えるため、レベルゲージの上限までいれます。
3.オイル循環確認 ※最重要
エンジンオイルが循環しているか確認します。
メインスイッチをoffにしておき、下記赤丸のボルトを外します。
※もともとオイルチェックボルトがあった箇所。
キックペダルを何度かキックし、エンジンオイルがオイルチェックボルトの箇所から出てくることを確認します。エンジンオイルをきれいに拭き取り、オイルチェックボルトを再度締め付けておきます。
オイルチェックボルトからオイルが出てこない場合は、オイルポンプの取り付けに不備が疑われるので再度オイルポンプ取り付け時のチェックを行い、正しく取り付けを行います。
4.ステップ取り付け
取り外しの逆の要領で取り付けます。
完成
ボルト等の取り付け漏れ、締め忘れなどをチェックし、エンジンをかけます。
しばらくアイドルして、今回取り外したクランケースからオイル漏れがないことを確認できれば完了です。
オイルポンプ交換の前と後で何か変わったかというと、気のせいなレベルなのかもしれませんが、回転抵抗が少し増したかな?という感覚がありました。
次回は、ボアアップについて書いていきたいと思います。