ヨシムラハイカムキャブセッティング(エイプ50)

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バイク

キャブをケイヒンPC20(キタコ仕様)に交換し、その後ヨシムラハイカムに替えたところ6000rpm付近から燃調が濃く、まともに走れない状態になったので、キャブセッティングをしていきます。

今回もキャブセッティングについては、「ヨシムラ」のサイトを参考にさせて頂きました。
https://www.yoshimura-jp.com/products/engine/setting

注)以降にセッティングパターンを記載していますが、エンジンの状態、カスタム内容によっては必ずしも同じセッティングで決まるわけではないので、参考までとしてください。

では、やっていきます!

事前準備

キャブレターセッティングを行うために以下のものを購入しておきます。

■パーツ

  • MJ(メインジェット):85番、90番、95番、100番、105番、110番セット(デイトナ製)
  • MJ(メインジェット):110番、115番、120番、125番、130番、135番セット(デイトナ製)
  • PJ(パイロットジェット):35番(キタコ製)
  • JN(ジェットニードル):デイトナケイヒンPC20用
  • JN(ジェットニードル):ホンダ純正CRF80F(ケイヒンPC20用) ※興味があれば購入

■工具

  • コンビネーションスパナ
  • ラチェットハンドル
  • ソケットレンチ
  • ドライバー(プラス、マイナス)
  • コップ ※ガソリンの受け皿 
  • ペーパータオル

キャブレター取り外し

ジェットを交換するには、キャブレターを外す必要があります。

キャブレターの外し方は、純正キャブと同様なので、以下を参考にしてください。

一点違うところは、キャブレターからのガソリン排出方法です。

純正キャブは、以下のように排出していました。

比べて、ケーヒンPC20の場合は、以下のようになります。

下のホースからではなく、ドレンボルトから出てきますので注意です。

ジェット交換方法

1.フロートチャンバーボディを取り外します。

※フロートチャンバーボディは、キャブレター下側の部分となります。

2.フロートチャンバーボディを外すとメインジェット、パイロットジェットを確認できます。マイナスドライバーを使って取り外しが出来ます。注)マイナスドライバーは、先端の幅がピッタリのものを使いましょう。何回も取り付け、取り外しを行うとナメてしまいますので。

現状仕様確認

注)今回のキャブセッティングは、冬の気温10度付近、湿度30%付近の条件で実施しています。気温、湿度によりセッティングが変わってくるのでご注意ください。

  • キャブレター(キタコ仕様ケーヒンPC20)
  • ヨシムラハイカムST-1
  • 純正エアクリーナーボックス+CRF100F純正ダクト ※CRF100F純正ダクトは、セッティング中に取り外し。
  • エアフィルター(デイトナターボフィルター)
  • マフラー(モリワキ)

純正カム+吸排気変更

純正カム、吸排気変更のセッティングです。

ジェットセット説明
MJ110番
PJ38番
JNキタコ
上から2段目
AS一回転半戻し
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/8問題なし
1/4問題なし
2/4問題なし
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
※ただし、回りすぎる傾向あり
4/4→急閉問題なし

上記セッティングから、カムシャフトをヨシムラハイカムに交換し、セッティングしていきます。

セッティング1

ヨシムラハイカムに交換し、ジェットの類の変更は行わず、状態を確認します。

 ジェットセット説明
MJ110番変更なし
PJ38番変更なし
JNキタコ
上から2段目
変更なし
AS一回転半戻し変更なし
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4ボコつきあり。6000rpm以上回転数があがらず。濃い
3/4ボコつきあり。6000rpm以上回転数があがらず。濃い
4/4(全開)ボコつきあり。6000rpm以上回転数があがらず。濃い
4/4→急閉※MJが決定したのち再調整するため、この段階では調整しない

■考察

アクセル開度2/4を越えて回すと、ボコつきが発生し、6000rpmから「バババババッ」と音をたて回転数が上がらない。
空燃比が濃い状態なので、MJがあってないと思い、思いきって95に下げるが、症状改善せず。100,105でも同じ症状。
6000rpm付近(中回転)から、空燃比が濃い症状がでているので、JNが関係していると思われる。

■セッティング方針

6000rpm付近で空燃比が濃くなっているので、JNで空燃比を薄い方向にセッティングしていきます。

JNを上から一段目に変更して症状が改善されるか確認していきます。

セッティング2

「セッティング1」方針に従って「JN」のクリップ位置を変更します。

 ジェットセット説明
MJ110番変更なし
PJ38番変更なし
JNキタコ
上から1段目
上から2段目⇒上から1段目へ変更
AS一回転半戻し変更なし
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4ボコつきあり濃い
3/4問題なし
4/4(全開)9000rpm付近で失速症状あり薄い
4/4→急閉※MJが決定したのち再調整するため、この段階では調整しない

■考察

JNの上から二段目よりは少しもマシになったが、6000rpm付近で「ババババっ」となり、引き続き空燃比が濃い状態。
ただ、6000rpmを超えて回せるようになった。
しかし、キタコのケーヒンPC20のJNでの調整はこれ以上出来ない状況となった。

また、スロットル開度4/4(全開)、9000rpm付近で失速症状あり。

■セッティング方針

スロットル4/4(全開)で失速症状がでたため、MJを115に変更します。
※JNの問題は解決できていないが、まずはMJを決定する。

セッティング3

MJを変更してアクセル開度4/4(全開)のセッティングしていきます。
失速を改善するため燃料を濃くしていきます。

 ジェットセット説明
MJ115番110⇒115
PJ38番変更なし
JNキタコJN
上から1段目
変更なし
AS一回転半戻し変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4ボコつきあり濃い
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉※MJが決定したのち再調整するため、この段階では調整しない

■考察

スロットル4/4(全開)、9000rpm付近で空燃比が薄い状態から、MJを115に変更し、9000rpmでの失速感がなくなったため、MJは115で一旦決定。

■セッティング方針

MJが決まったので、JNをデイトナ製に変更し、6000rpm付近で空燃比が濃い状態を改善できるか試します。

セッティング4

キタコJNからデイトナJNへ変更していきます。

 ジェットセット説明
MJ115番変更なし
PJ38番変更なし
JNデイトナ
上から1段目
キタコJN⇒デイトナJN
AS一回転半戻し変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4加速のもたつきあり濃い
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉※JNが決定したのち再調整するため、この段階では調整しない

■考察

デイトナのJNに変更すると、6000rpm付近のボコつきは小さくなり、加速のもたつきが発生するくらいに改善された。

■セッティング方針

スロットル開度(2/4)、6000rpm付近で空燃比が濃い状態になっているため、ここを薄くする方法で対応する。
ただし、JNのクリップ位置は、最上段であるため、調整が上限となってしまっている。
そのため、吸気量を増やす方向で対応する。

CRF100Fのエアダクトを取り外し、吸気量を増やしてセッティングする。

セッティング5

CRF100Fのエアダクトを取り外してセッティングを行う。

 ジェットセット説明
MJ115番変更なし
PJ38番変更なし
JNデイトナJN
上から1段目
変更なし
AS一回転半戻し変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/46000rpm付近で気にならないレベルで加速の引っ掛かりあり少しだけ濃い
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉※JNが決定したのち再調整するため、この段階では調整しない

■考察

スロットル開度(2/4)、6000rpm付近で気にならないレベルの加速の谷間あるが、低ギアからの8000rpm以上でのシフトアップだと感じられないレベルになった。

ただし、10000rpmくらいで4速で回らず、頭打ちになる症状あり。

■セッティング方針

MJを変更し、12000rpmまで回転数を上げられるようにセッティングしていく。

セッティング6

4速で12000rpmまで引っ張れるようにMJを変更していく。

 ジェットセット説明
MJ120番115⇒120⇒125と順に変更
※125は濃い症状となったため、120に。
PJ38番変更なし
JNデイトナJN
上から1段目
変更なし
AS一回転半戻し変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/46000rpm付近で気にならないレベルで加速の引っ掛かりあり少しだけ濃い
3/4問題なし
4/4(全開)MJ120で4速12000rpmまで回るようになったが、5速で失速症状あり
4/4→急閉問題なし

■考察

5速にシフトアップすると、回転数が下がっていき、8000rpm付近まで下がり、それ以上の加速ができなくなる。5速でトルク不足になっていると思われる。

■セッティング方針

ドリブンスプロケット(フロント)を16T⇒15Tに変更。ローギア側に変更し、5速で失速させず加速できるようにする。

セッティング7

5速で失速しないようにドリブンスプロケット(フロント)をローギア(16T⇒15T)に変更する。

 ジェットセット説明
MJ120番変更なし
PJ38番変更なし
JNデイトナJN
上から1段目
変更なし
AS一回転半戻し変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/46000rpm付近で気にならないレベルで加速の引っ掛かりあり少しだけ濃い
3/4問題なし
4/4(全開)4速:11000rpm
5速:10000rpm
4/4→急閉問題なし

■考察

5速で失速せず、10000rpmで巡行できるようになった。
ただし、4速では、11000rpmまでの加速となった。

■セッティング方針

スプロケットをローギアに変更することにより、12000rpmまで回せるように出来そうだが、最高速の確保と5速でエンジンをいたわりたいので、スプロケット変更はこれで決定する。

最後に、気になる6000rpm付近のもたつきを解消出来ないか、AS(エアスクリュー)を変更してみる。

セッティング8

6000rpm付近で燃料が濃い状態になっているので、AS(エアスクリュー)を少しづつ回して、空気を多くして調整していきます。

 ジェットセット説明
MJ120番変更なし
PJ38番変更なし
JNデイトナJN
上から1段目
変更なし
AS一回転半戻し+135°戻し※一回転半を基準に、45°単位で戻していく
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4問題なし
3/4問題なし少しだけ濃い
4/4(全開)問題なし少しだけ濃い
4/4→急閉問題なし

■考察

1回転半を基準にAS(エアスクリュー)を45°⇒90°⇒135°⇒180°の順で戻していく(左回し)と、135°付近で6000rpmで加速の息継ぎが少ない箇所があり。180°だとアイドリングが不安定になるため、135°が良いと判断。

■セッティング方針

AS(エアスクリュー)は、1回転半+135°戻りで決定。

完了

加速のもたつきは完全に消せませんでしたが、気にならないレベルになったので、ひとまずセッティングは完了です。

気温10度、湿度低め(冬)におこなったので、気温上昇、湿度上昇とともにセッティングはずれてくるかと思います。

ハイカムを組み込むと、エンジン出力特性が変わるため、キャブセッティングは、必須になると思います。

ハイカムに変えたことにより、6000rpm以上で急激な回転数の伸びがあり、最大回転数は12000rpm(ここはグレーなので自己責任で)となり、別物のエンジンになりました。

ちなみに純正カムだと、回転数は9500rpm付近で頭打ち(回らない)です。

プラス2500rpmは、パワーだけでなく、最高速にも大きく影響をあたえるものでした。

ただ、ハイカムをいれることでメリットだけでなく、デメリットもありました。

シフトアップ時に回転数が落ちると思いますが、落ちた時の回転数が7000rpm以上になるように、しっかり回してからシフトアップが必要になります。目安としては9000rpm付近でしょうか。

6000rpm以下でシフトアップしてしまうと、空燃比が濃い状態のまま、さらに濃い状態になる6000rpmをむかえてしまうので、6000rpmを越える時に「ババババっ」という症状が顕著に出てしまいました。

これは、JNがスロットル開度(2/4)で細くなり(6000rpm付近)、空燃比が急激に濃くなるのが原因です。

以下は参考となります。キタコとデイトナのJN比較です。

デイトナは、中間付近から先端に向かってキタコに比べて急激に細くなっていません。それに対してキタコは、中間から先端に向けて急激に細くなっています。

今回JNをキタコ⇒デイトナに変更し、6000rpm付近で濃い状態が軽減できたのは、この少しの差によるものと思われます。

また、停止状態からの加速が純正カムより難しくなる。ハイカム=低速トルクが犠牲になる、がよくある噂ですが、ヨシムラハイカムはスカスカというわけではありませんでした。

ただ、やはり低速トルクは犠牲になってるので、発進がちょっとだけ難しくなりました。

追加セッティング(参考)

6000rpm付近で空燃比が濃く、JN(キタコ、デイトナ)の調整幅がなくなってしまったため、CRF80Fの純正キャブで採用されているケーヒンPC20のJNも使ってみました。

オフロード走行専用車「CRF50F」「CRF70F」「CRF80F」「CRF100F」のグラフィックデザインを変更し発売
本田技研工業の広報発表ニュース -  Hondaは、オフロード走行専用車「CRF50F」「CRF70F」「CRF80F」「CRF100F」のグラフィックデザインを変更し、それぞれ6月24日(火)に発売する。

使用した結果、6000rpmでの加速の谷はなくなりましたが、9000rpm付近で加速の谷が出来てしまいました。

これは、JNの形状によるものだと思われます。

CRF80FのJNの形状は以下のようになっています。

CRF80FのJNは、デイトナ、キタコがJNの中間付近から、先端に向かって細くなっていきますが、太さがあまり変わらず、先端だけ細くなる形状になっています。

この形状の差により、デイトナ、キタコは6000rpm付近で細くなる(=濃くなる)のに対し、CRF80Fは、先端部分で急激に細くなり9000rpmで濃くなるような特性になると思われます。

正確には、スロットル開度によるものかと思いますが、実際にスロットルを開けると上記の回転数付近で発生します。

JNを変えることにより、エンジン特性がガラッと変わるのでとても興味深いものでした。

ハイカム変更後のキャブセッティングは、ここでは少し省いていますが、結構大変でした。地味な作業ですが、1つずつジェットセットを試して、状態を記録していく作業が必要になると思います。

根気よく向き合うことが大切なのでがんばってみてください。

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