キャブセッティング(エイプ50純正キャブ)

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バイク

吸排気系のパーツ等を変更し、空気を取り込む量を増やしたり、排気ガスが抜ける効率を良くしたりすると、空燃比がくるいます。

空燃比とは、空気1に対してのガソリンの量がどれくらいということを表した比率になります。

キャブレター内でエアクリーナーボックスから取り込んだ空気とガソリンを混ぜ合わせ、混合気を作り、エンジン内に取り込まれます。

理想の空燃比は、空気1に対してガソリン14.7と言われてますが、空燃比計があるわけではないので、先人のナレッジを元に感覚で調整していく必要があります。

まずは、以下の記事で吸気系の改善をしており、空気を取り込む量が増えたので、混合気が「薄い」状態になっています。

そのため、ガソリンを混ぜる量を増やす必要があります。

キャブセッティングについては、「ヨシムラ」のサイトを参考にさせて頂きました。
https://www.yoshimura-jp.com/products/engine/setting

注)以降にセッティングパターンを記載していますが、エンジンの状態、カスタム内容によっては必ずしも同じセッティングで決まるわけではないので、参考までとしてください。

事前準備

キャブレターセッティングを行うために以下のものを購入しておきます。

■パーツ

  • MJ(メインジェット):65番、70番、75番、80番、85番、90番セット(デイトナ製)
  • PJ(パイロットジェット):38番(キタコ製)

※JN(ジェットニードル)は、決まらない場合は購入を検討します。
※AS(エアースクリュー)は、専用器具を使わないと変更できないようになっている(=メーカーとしては調整非推奨のはず)ため、調整しない方向で進めます。

純正キャブレターのMJ、PJ、JN、ASの仕様は以下となります。

MJ:60番
PJ:35番
JN:3段階調整
AS:調整不可

■工具

  • コンビネーションスパナ
  • ラチェットハンドル
  • ソケットレンチ
  • ドライバー(プラス、マイナス)
  • コップ ※ガソリンの受け皿 
  • ペーパータオル

キャブレター外し

ジェットを交換するには、キャブレターを外す必要があります。※外さずとも出来ますが、狭いところで使える工具が必要なので、ここでは外して行います。

1.燃料タンクからキャブレターへ燃料が供給されないようにします。

燃料コックをOFFに合わせ、燃料コックからキャブレターへのホースを引き抜きます。ホース内に燃料が残っているので、床にこぼさないようにペーパータオルで押さえながら引き抜くとよいです。

2.キャブレターを開けるので、内部のガソリンをあらかじめ抜いておきます。

3.キャブレターとエキゾーストマニホールド(下記の赤丸)をつなぐボルトのナットを外します。

4.コネクティングチューブとキャブレターインテーク側の接合部のプラスネジ(赤丸)を緩めておきます。※ネジを完全に取る必要はありません。

5.キャブレター上部のスロットルバルブのネジを外し、続いてコネクティングチューブも外します。

6.キャブレターを引き抜きます。

※スロットルバルブは、燃料タンクが邪魔になり上に引き抜けない場合もあるので、燃料タンクは作業前に外しておくと良いです。

スロットルバルブをキャブ本体から引き抜いたところ。ジェットニードルが見えます。

ジェット交換方法

1.フロートチャンバーボディを取り外します。※フロートチャンバーボディは、キャブレターの下側の部分となります。

2.フロートチャンバーボディを外すとメインジェット、パイロットジェットを確認できます。マイナスドライバーを使って取り外しが出来ます。注)マイナスドライバーは、先端の幅がピッタリのものを使いましょう。何回も取り付け、取り外しを行うとナメてしまいますので。

現状仕様確認

注)今回のキャブセッティングは、夏場の気温35度付近、多湿の条件で実施しています。気温、湿度によりセッティングが変わってくるのでご注意ください。

1.吸気系変更「前」の状態

※赤マーカーが変更される箇所

  • キャブレター(エイプ50純正)
  • 純正エアクリーナーボックス(吸入口純正
  • エアフィルター(デイトナターボフィルター)
  • インシュレーター(純正口径
  • マフラー(モリワキ)

2.吸気系変更「後」の状態

※赤マーカーが変更点

  • キャブレター(エイプ50純正)
  • 純正エアクリーナーボックス(CRF100純正ダクト
  • エアフィルター(デイトナターボフィルター)
  • インシュレーター(径拡大加工
  • マフラー(モリワキ)

吸気系を変更し、空気を多く吸い込めるようにしたため、今までと比較すると混合気は「薄くなっているはずだ」と仮定して以降のセッティングを進めます。

吸気系変更「前」

吸気系を変更する「前」の状態のジェットの仕様です。

ジェットセット説明
MJ60番純正番手
PJ35番純正番手
JN上から2段目
(真ん中)
標準
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/8問題なし
1/4問題なし
2/4問題なし
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉アフターバーン

■考察

加速時に気になる箇所は、特になし。ただし、アクセルスロットル全開からのスロットルオフ(急閉)でマフラーからアフターバーン(パンッという渇いた音)あり。

■セッティング方針

急閉でアフターバーンが発生するため、混合気が薄い可能性あり。PJの番手を一つ上の「38」番手に変更する。

吸気系変更「後」

1.何も変更せずに状態を確認します。

MJ60番純正番手
PJ35番純正番手
JN上から2段目
(真ん中)
不明
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4失速薄い
3/4測定不可薄い
4/4(全開)測定不可薄い
4/4→急閉測定不可

■考察

アイドリングからアクセル開度1/4までは問題ないが、アクセル開度2/4を越えて回そうとすると、失速、つまりエンジン回転数が落ちていき、エンジン停止となる。空気の吸い込み量が増えたため、混合気が「薄い」状態になったと思われる。

■セッティング方針

アクセル開度2/4付近から失速するため、MJの番手を大きくします。

2.「1」のセッティング方針に従って「MJ」を変更します。

MJ65番60⇒65へ番手を変更
PJ35番変更なし
JN上から2段目
(真ん中)
変更なし
スロットル開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4問題なし
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉アフターバーン薄い

■考察

加速時のアクセル開度2/4で失速する症状は解消され、5速9500rpmまで吹け上がるようになりました。ただ、アクセル開度4/4から急閉したときのアフターバーン(パンッの音)は残っています。

■セッティング方針

MJは「65番」で一旦確定とします。急閉時のアフターバーンは、閉塞付近を担当するPJを変更して対応します。

アフターバーンが発生する(=「薄い」状態である)ため、PJを35⇒38番に変更してみます。

3.「2」のセッティング方針に従って「PJ」を変更します。

MJ65番変更なし
PJ38番35⇒38番へ変更
JN上から2段目
(真ん中)
変更なし
スロット開度症状空燃比
0(アイドリング)問題なし
1/4問題なし
2/4問題なし
3/4問題なし
4/4(全開)問題なし
4/4→急閉問題なし

■考察

最後の課題となっていたアクセル急閉時のアフターバーンですが、PJを「38」番手にすることにより解消しました。加速についても問題ありません。

■セッティング方針

加速、減速共に問題のある箇所はないのでこのセッティングで確定とします。

次回

吸排気系を変更し、キャブのセッティングも完了し、エンジンパワーも上がりましたので、やっとハイギアードのセッティングが出来ます!

次回は、スプロケットの変更をしていきたいと思います。

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